菊地 由花

Yuka Kikuchi

プログラム修了年2015年

現在のお仕事について教えてください。

地域の急性期病院にて、内科の枠組みの中で外来、病棟業務を中心に行っています。外来では一般内科診療に加え、検診業務、各種検査を行い、他院で診断・治療が困難な症例の対応も行っています。入院では、超急性期病院で診断・初療を受けた後の患者さんを引き受け、感染症や膠原病、不明炎症などの治療継続や追加精査、リハビリ、在宅環境調整などを行い、在宅復帰や施設入所支援を行っています。現在は超高齢社会、多死社会であり、多疾患併存で複雑な社会背景を持つ高齢者へ、疾病管理を超えた対応能力が総合診療医に求められており、それを実践しています。また、大学を離れた現在でも、大学講義や講習会での講師などを担当させていただいております。

卒業後の経歴

Career

卒後1~2年目

山口県内の市中病院(400床規模) 初期研修医

卒後3年目

広島大学病院 総合内科・総合診療科

卒後4年目

広島西医療センター

卒後5年目

吉島病院、シムラ病院、坪田内科(現:青崎いぶきクリニック)

県外在住の祖父が認知症となり、自分の事として家族の介護や終末期を考える機会となった。本人に馴染みのない広島に生活拠点を移すことになったため、祖父の主治医を私が担うこととなり、介護保険主治医意見書の記載から行い、施設面談を通して施設選定もした。その後約5年間、心不全増悪、高血糖性昏睡、脱水症、様々な感染症などを発症したが定期診療のほか入院対応、往診も自分でこなし、同時にACPをふまえた家族ケアも行った。亡くなる直前まで一貫して、診療の場を選ばず主治医として私が診療を行い、穏やかな最期を迎えることができた。自身の家族のことであり、辛いことも多々あったが、総合診療科専攻医として学んできた知識をフル活用して実践でき、この分野を学んできて本当によかったと感じられた。

卒後6年目

広島大学病院 総合内科・総合診療科

卒後7~9年目

アマノリハビリテーション病院

総合診療医は様々な疾患や障害、生活背景に対応し、一人の患者に中長期的に関わる機会が多いため、急性期の診断や治療を行うだけでは不十分なことが多い。特に多疾患を併存している高齢者においては改善の期待できない症候も有しており、その後の生活を鑑みた視点、マネジメントが重要である。疾患予後を予測した上での障害への対応について、リハビリテーションの観点から学ぶため、回復期リハビリテーション病棟に約3年間従事し、個別の回復状況や社会背景に合わせた医療を、多職種連携チームとしてどのように展開していくのかという貴重な経験を数多くできた。

卒後10~14年目

広島大学病院 総合内科・総合診療科 助教

大学スタッフとしての仕事は主に教育、研究が中心となった。臨床現場では患者さん一人ひとりに対応する仕事だったが、大学では主に研修医や専攻医、学生への指導的立場となり、現場を経験した者として総合診療の魅力を若い方にどのように伝えればよいのかを常々考えていた。知識や技術を指導する一方で、それまでお世話になった大学内外の関係者の方々と連携させていただきながら、より良い研修環境やシステム構築に励む機会を得、組織運営の難しさや教育手法を学ぶことができた。また大学院生として疫学研究、論文作成にも取り組み、アカデミックな思考を学ぶことがでた。

卒後15年目

舟入市民病院 総合診療科 副部長

これからのビジョン・目標について教えてください。

大学での勤務も5年が経過し、総合診療領域の教育・マネジメントにも一区切りがついたところで現在の市中病院勤務のお話をいただきました。久々に地域医療に主体的に関わることに加え、大学などでの教育経験も生かして若い先生方や医療スタッフの方々に私たちの仕事の魅力を知っていただく好機と考え、微力ながらご協力させていただいています。今後は病院内での病棟業務や外来業務に加え、お一人の患者さんを病院の枠を超えて長期的に診療できる仕組みを構築できればと思っています。また、女性医師が増えている現状では、各々のキャリアやライフイベントも共に大切にしながら、より働きやすい現場を作っていければと考えています。

3年間の専門研修中で印象的であったことをおしえてください。

様々な境遇の患者さんと触れ合い、多様な価値観や生き方があることを知ることができました。教科書には答えが載っていないことばかりでしたが、患者さんを中心に私たち医療従事者がチーム一丸となって最適な支援を考えていく過程に喜びと充実感、そして自身の人間的成長を感じました。地域医療に従事し、その地域の特徴や資源を把握した上で医療を展開していくというマクロな視点を持つことができました。途中からは指導者側・管理者側の経験もすることで、医療を多角的にみることができています。総合診療領域は何年学んでも新たな発見があり、飽きることがありません。

総合診療科は他科と比べるとまだ新しい診療科であり、仕事内容が分かりにくいという声をよく耳にします。その理由の一つとして、総合診療医と言っても様々なパターンの仕事内容があり、多様な働き方があるからだと思います。総合診療医は、診療環境を問わずにその場で求められる最適な医療を提供でき、それぞれのナラティブな側面にも対応できる専門医だと思っています。患者さんやその家族はもちろん、医療スタッフにも大変頼っていただける診療科ですが、世間のニーズに比しまだまだ専門医数は不足しています。
 また、今後増える女性医師にも活躍してもらいやすいよう職場環境作りにも取り組んでいます。ワークライフバランスへの配慮や、ライフイベントに合わせたキャリアチェンジ支援を目的に、チーム制の導入やワークシェアリングも先駆けて導入しています。是非一緒に地域医療を盛り上げていきましょう。