【研究紹介】COVID-19後の四肢切断リスク上昇 - 医療レセプトデータベースによる大規模観察研究より

2025年5月23日、宮森先生らの研究グループは、COVID-19感染者における四肢切断リスクの上昇」を報告しました(Journal of Diabetes Investigation誌)。
研究概要
本研究は、日本の公的医療保険データ(約310万組のマッチドペア)を用いた大規模コホート研究です。感染歴のある人は、ない人に比べて切断の発生率が約2.3倍と有意に高く、そのリスクは2年以上持続することが分かりました。特に、持病を複数持つ方(Charlson併存疾患指数≧2)では、さらにリスクが高まる傾向が見られました。COVID-19後の血管合併症には長期的な注意が必要であることが示されました。

吉田先生の論文がAging Clinical and Experimental Researchに掲載されました

Yoshida, S., Miyamori, D. & Ito, M. Effect of the 2018 Japan floods and COVID-19 pandemic on cognitive decline among atomic bomb survivors in Hiroshima, Japan: a retrospective cohort study. Aging Clin Exp Res 37, 152 (2025). https://doi.org/10.1007/s40520-025-03054-z

本研究は、2018年の西日本豪雨とCOVID-19パンデミックという2つの大規模災害が、広島の原爆被爆者の認知機能に与えた影響を調査しました。広島の被爆者16,000名以上を対象に、2016年から2023年までの介護レセプトデータをもとに認知機能の変化を分析しました。その結果、西日本豪雨下では、他の集団と比較して差は見られませんでしたが、パンデミック下で被爆者の認知機能は低下しにくかったことが明らかになりました。戦後約80年となる現在においても、被爆者として生きてきた社会的な背景が日常の健康状態に影響している可能性を示しました。