論文紹介:診察室でよく聞く“眠れない”を、全国データで確かめました!

 COVID-19の回復後にも「眠れない」「寝ても疲れが取れない」といった睡眠の問題が続くことは、患者さんの声として広く知られています。診療の場でも、呼吸器症状が落ち着いた後に睡眠の質低下が前面に出てくるケースは少なくありません。しかし、個々の体験として語られることが多い一方で、日本全国規模のデータから“どのくらいの人が、いつ、どの程度”影響を受けるのかを定量的に示すことは容易ではありませんでした
 そこで本研究では、厚生労働省のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用し、COVID-19罹患後に不眠治療薬(insomnia pharmacotherapy)が新規に開始される頻度を詳細に評価しました。単に「不眠の診断名」を数えるのではなく、実際の医療行動としての“処方”に着目することで、臨床の現場で起きている変化をより実態に近い形で捉えることを目指しました。
解析では、年齢や性別、併存疾患などの背景因子をそろえた大規模コホートを構築し、感染歴のある群とない群を比較しました。その結果、COVID-19感染歴のある群ではどの年代、性別においても不眠治療薬の新規処方が増加しており、感染後12か月以降もリスク上昇が持続する可能性が示されました。
 睡眠は、身体・精神の回復を支える基盤であり、就労や学業、家庭生活など日常機能にも影響します。本研究の知見は、ポストコロナのフォローアップにおいて、身体症状だけでなく睡眠の状態を丁寧に評価し、必要に応じて早期に支援へつなぐことの重要性を示唆します。今後も当研究室では、大規模データと疫学・データサイエンスの手法を活用し、臨床現場の“実感”をエビデンスとして可視化し、よりよい医療と健康支援につながる研究を進めてまいります。

秋本先生、加藤先生が総合診療専門医試験に合格しました!!

1月19日に2025年度の総合診療専門医認定試験の結果が発表されました。

当プログラム修了生の秋本尚光先生、加藤貴大先生が見事合格しました!おめでとうございます。

 

秋本先生コメント:

「このたび、総合診療専門医に合格することが出来ました。たくさん助けていただいた指導医の先生方をはじめ、後輩・同期のみんなに、この場を借りて心より感謝申し上げます!専門医取得をゴールにするのではなく、ここからがスタートだと考えています。まだまだ至らぬ点もたくさんありますが、これまで以上に研鑽を積んで、より良い診療が提供できるよう努めていきたいと思います!引き続き、よろしくお願いいたします。」

加藤先生コメント:

「広大総診のプログラムは専攻医へのサポートが手厚く、3年間で確かな力をつけて、安心して試験に臨むことができました。本当にありがとうございました!」

宮森先生の論文が「Annals of Medicine」に掲載されました!

Impact of COVID‑19 infection on subsequent prescriptions of autonomic dysfunction pharmacotherapy: a nationwide propensity‑score‑matched Cohort study in Japan
 COVID-19の回復後に続く「後遺症」として、倦怠感や動悸、立ちくらみといった自律神経系の異常が多く報告されています。しかし、日本国内の広範

なデータに基づくその実態解明は十分ではありませんでした。
 本研究では、厚生労働省のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)等の大規模データを活用し、感染後の自律神経機能不全(

Autonomic Dysfunction)に伴う薬剤処方の動向を詳細に分析しました。

 約307万ペアの結果、感染歴のある群では、起立性低血圧や循環調節機能に関わる薬剤の新規処方率が高い傾向にあることが示されました。本知見は、ウイルス感染症が全身の自律神経系に及ぼす長期的リスクを示唆する重要なエビデンスとなります。
 今後も当研究室では、データサイエンスの手法を用いて、人々の健康維持に直結する医学的課題の解決に取り組んでまいります。
 論文はこちらからご覧になれます